治療について
あごがカクカクいう
お口を開け閉めしたとき関節雑音を自覚する
耳の穴の前の部分に、顎関節があります。
まんがでは、うわあごも動きますが、よーくご自分のあごの動きを観察してみてください。
動いているのは下あごです。下あごは、顎関節で頭の骨についています。
お口を大きく開けたり閉じたりしたときに、「カクカク」「ジャリジャリ」音が鳴りませんか?
顎関節の部分にある、関節円板といわれるものがずれていると音がします。
平成17年度の歯科疾患実態調査での、音がするひとの割合をみてみましょう。
歯がよくても、お口の動きがスムーズでないと食事や発音に影響がでますので、一度受診されることをお勧めします。
以前は、かみあわせが悪いことが原因であると言われていましたが、現在ではふだんの生活で無意識にあごに負担をかかるような動作が原因ではないかと言われています。気づいたら歯を食いしばっていることはないでしょうか。ご自分で少し気を使うだけでもかなり効果があります。
治療法としては、以前のようにはならびを変えたりなどは推奨されていません。
米国で最も権威ある歯科学会である米国歯科研究学会(American Academy of Dental Research,AADR)のニューロサイエンスグループにより顎関節症の診断と治療に関する基本声明をまとめる努力が 3 年間にわたって続けられ,2010 年 3 月にようやくその基本声明が掲載されました。
以下抜粋
実験的研究や疫学的研究のみならずクリニカルトライアルにより得られたエビデンスに基づいて次のような基本声明を掲げる.
1) TMD と顎顔面部の関連疾患の鑑別診断は,基本的には患者の病歴聴取,臨床 的診察,および必要に応じて顎関節のX線写真および他の画像検査から得られる 情報に基づいてなされるべきである.他の付加的な診断法を選択する場合は,す でに論文に発表され,同一分野の研究者が検証した,診断的価値と安全性が保障 されたデータに基づいてその選択がなされるべきである.しかしながら,現在利用できる TMD の診断機器の中には,種々の画像診断機器を例外として,TMD患者を正常者から鑑別したり,TMDの症型を分類したりするのに必要な感度と特異度を有している機器は存在しないというのが最近の科学的文献のコンセンサス である.現在,筋骨格系,リウマチ性あるいは神経系の類似疾患の鑑別に用いら れている標準的な医学的診断法や検査室診断法については,必要な場合には TMD の診断に用いることは認められる.加えて,標準化され,妥当性が検証された種々 の心理テストを用いて個々の患者が抱える TMD の問題の社会心理学的側面を評 価することも認められる.
2) 正当化できる特定の証拠がないかぎりは,TMD 患者の治療の第一選択は,保 存的で可逆的かつ証拠に基づく治療法とすることが強く薦められる.多くの TMD 患者の自然経過を調べた研究により,TMD は時間経過とともに改善し,治癒し ていく疾患であることが示唆されている.あまねく効果的であることが証明された特定の治療法が存在しないとはいえ,保存的療法の多くがほとんどの侵襲的な 治療法と少なくとも同程度に症状の改善をもたらすことのできることが証明され ている.保存的療法は不可逆的な変化を起こさないため,害をもたらすリスクは 格段に少ない.プロフェッショナルケアは,必ず TMD という疾患そのものや症状の管理の仕方について患者教育を行うというホームケアと合わせて実施されるべきである.