歯科医 東のウェブログ
根管洗浄でのシリンジの位置
根管洗浄についての非定常計算シミュレーション
抗菌性の溶液での根管洗浄は化学的形成に不可欠な部分であり、それは細菌、残屑、壊死組織、とくに機械的形成では除去できないものを除去するためである。洗浄液は超音波で積極的に洗浄する前に、シリンジや針で運ばれる。根尖孔との相対的な洗浄針の位置関係の重要性は、過去の研究でも注目されてきた。作業長に近い洗浄針の位置が、デブライドメントした部位や消毒液の置換によいと仮定されてきた。しかしこれまでの研究は、残屑や細菌の除去効率に焦点を当てており、病因論はあまり分かっていなかった(例えば、根管内での消毒液の流れのタイプとデブライドメントや消毒液の置換との関係)。熱画像分析を使って根管内の流体力学を調べるのは、荒い評価しか出来ないので、限定的であった。
根管の洗浄液を研究するための方法として、計算流体力学(CFD)モデルが近年紹介された。
Boutsioukis C,Irrigant flow within a prepared root canal using different flow rates:a computational fluid dynamics study, Int Endod J, 2009,42)
このモデルはその後、実験室でハイスピードイメージングデータで立証され、洗浄針の先の流れの設計の効果の計算に使われた。この研究で、洗浄針は作業長から3mm短い位置であった。洗浄液の流れと洗浄針の位置の効果は詳細に研究されていない。
------
オランダのTwente大学の研究者が、根管形成後の最終洗浄時の、根管内の消毒液の流れについて、洗浄針の位置の評価を、2種類の針を使い、CFDで評価した。
サイドベントと通常の先端に穴がある(オープンエンド)ストレートの30Gの洗浄針。作業長から1,2,3,4,5mmの位置で比較した。速度、圧力、剪断応力を測定した。
流れのパターンは位置によらず類似していた。2つのシリンジ間では大きな違いがあった。サイドベントタイプでは作業長から1mmアンダーの位置でしか洗浄できなかった。オープンエンドタイプは作業長から2mmアンダーでも洗浄できた。剪断応力、圧力は作業長から離れるにつれて減少した。
洗浄針の位置は洗浄範囲に影響している。根管壁への剪断応力や根尖孔への圧力にも影響した。
----
次亜塩素酸ナトリウムを使うことが多いと思いますが、実際は根尖孔の大きさによって調整するしかないけど、根尖孔が大きく破壊されていなければ、2mmアンダーでないと液が循環しないらしい。
C.Boutsioukis, T.Lambrianidis, B.Verbaagen, M.Versluis, E.Kastrinakis, P.Wesselink, L.van der Sluis,The effect of Needle-insertion depth on the irrigant flow in the root canal:evaluation using an unsteady computational fluid dynamics model, JOE, 36, 10, 2010.10
2010-10-18