歯科医 東のウェブログ
義歯での口内炎
合ってない入れ歯では口内炎になる
義歯を使っている人の半分が、義歯による口内炎(Denture induced stomatitis:DIS)を経験している。義歯が粘膜を圧迫して赤くなって腫れる。DISは総義歯でも部分床義歯でも起きる。上顎によくおこるが、下顎でもみられ、DISは無症状で、本人は気づ気づかないことも多い。
サウジアラビアのキングソード大学の歯学部の研究者が71人の患者で調査した。総義歯は48人で部分床義歯が23人。DISは上顎の義歯の57%で、下顎の義歯の52%にみられた。
義歯のの清掃と、装着習慣についてアンケートを行った。3つの選択肢、洗うだけ、歯磨き粉とハブラシで磨く、義歯洗浄剤を使う。メインの61%が水洗いだけであった。歯磨き粉とハブラシは24%で、15%が義歯洗浄剤だった。効果的な洗滌ができていなことは、DISのリスクファクターのひとつであり、有意にDISの数と関係があった。
寝るときも義歯を装着することはDISのリスクファクターであり、DISの数と有意に関係があった。
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就寝時は義歯は外してください。義歯洗浄剤を使って手入れしてください。
日本では健康保険では材料からして粗悪なもので理論上理想的だとされる義歯が作れません。大変かなしいことですが、そういうものです。普通の材料を使って普通の手間をかけて作った義歯はとても装着感がいいです。それでも、上記のようなことがありますから、お手入れはしっかりやりましょう。身体があまりがんばらなくてもよくなります。知らないところにずっと炎症が起きていることになります。
Sadig, W.: The Denture Hygiene, Denture Stomatitis and Role of the Dental Hygienist. Inter J Dent Hygiene 8: 227-231, 2010.
2010-09-17