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虫歯のできる過程
虫歯になるには多くの細菌が関与しています。
種々の理由で、ミュータンス・ストレプトコッキは、酸を産生して齲蝕をつくる、バイオフィルム中での第一の病原菌であると一般的に考えられている。
なぜなら第一に、ミュータンス・ストレプトコッキは齲蝕病巣から頻繁に分離される。
第二に、高濃度のスクロース食品を与えた動物でミュータンス・ストレプトコッキは齲蝕を誘発することができるということが動物実験で繰り返し示されている。
第三に、ミュータンス・ストレプトコッキは、酸産性能があり、かつ耐酸性がある。
東北大学の研究者とデンマークのオルフス大学の研究者が、滑沢な歯面における齲蝕に至る過程においての齲蝕に関係する細菌とその役割について、文献レビューを行った。
生態プラーク仮説を拡張して、齲窩ができる前の動的な脱灰と再石灰化の過程を説明するために、齲蝕における3つの可逆的なステージが提唱されている。
ステージ1は、ミュータンス・ストレプトコッキ以外とアクチノマイセスが優位になり、バイオフィルムが動的に安定化する。このステージでは、脱灰と再石灰化のバランスがとれているので、酸産生は緩やかで、めったに起こらない。
次は酸産生のステージで、ショ糖が頻繁に摂取されると、酸産生が中等度かそれ以上になる。
バイオフィルム中の酸が増加し、低pHのミュータンス・ストレプトコッキ以外が選択的に複製され、徐々に、通常半を産生しない細菌が酸を産生し始める。重度で長期の酸環境が続くと、耐酸性の細菌が優位になり、耐酸性のステージになる。ミュータンス・ストレプトコッキとラクトバチリが、ミュータンス・ストレプトコッキ以外のアクチノマイセスやビフィドバクテリウムやイースト菌などの耐酸性型と同様に、バイオフィルム中で、優位になる。
多くの酸産性能かつ耐酸性の細菌が齲蝕になる過程に関係している。
バイオフィルムのpHで、どの最近が増殖するかが決まり、その細菌が酸産生する。
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さまざまな細菌が関与してできるむし歯ですが、日々なにをしたらよいのか?
毎日のしっかりしたブラッシング。それだけでは100%の歯の表面の汚れはとりきれません。
歯科医院でみがき残しを調べてもらいましょう。かなり多く残っていることを知ってびっくりするとお思います。まずはそれがスタートです。歯は一生つきあっていかなければならない大切なものですよ!
Takahashi, N., Nyvad, B.: The Role of Bacteria in the Caries Process: Ecological Perspectives. J Dent Res 90(3):294-303, 2011.
2012-03-16