歯科医 東のウェブログ
口の中に呼吸器疾患の細菌が存在する
呼吸器の細菌と口腔内の細菌とは関係するのか?
口腔内細菌バイオフィルムは、呼吸器系病原菌や口腔内病原菌の約700種を含んでいる。医科では重要な病原菌であるEnterobacter, Hemophilus, 多種のpneumonaise株も含んでいる。口腔内バイオフィルムにおける呼吸器系の原因菌が唾液中に放出され、とくに呼吸管を装着している入院患者では、肺に吸入される。
ブラジルのリオデジャネイロのFederal大学とブラジル国立循環器研究所の研究者が、30人の入院患者で、心臓バイパス手術の前後で歯周組織の状態と6つの呼吸器系疾患の原因菌とを評価した。13人の患者が無歯顎で、17人が歯があった。歯のある患者は中等度の歯周炎で口腔衛生状態が悪かった。患者の多くが、喫煙の経験がある高血圧の男性であった。唾液とバイオフィルムの試料中の細菌が培養またはPCRで同定された。オペ前と手術後ともに、プラークと唾液サンプルから検出されたもっとも有病率の高い呼吸器系の疾患の細菌は、PseudomonasとAcinetabacterであった。細菌数は手術後の方が増加したが、有意差は認められなかった。
不良の口腔衛生状態と歯周病が炎症性の状態と、呼吸器系の疾患の原因菌が成熟するようなバイオフィルム環境をもたらす。バイオフィルムが病原菌の貯蔵庫となるので、入院患者の院内肺炎のリスクは増加するかもしれない。
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入院するようなことになる前には、歯をきちんと治療しておきたいものです。
Zuanazzi, E., Souto, R., Mattos, M., et al: Prevalence of Potential Bacterial Respiratory Pathogens in the Oral Cavity of Hospitalized Individuals. Arch Oral Biol 55: 21-28, 2010.
2010-11-17