歯科医 東のウェブログ
癌患者のためのカルシウム配合の飴
唾液分泌が低下したらどうしたらよいのでしょうか?
頭頚部の放射線治療を受けた患者は、唾液分泌が減り、ドライマウスになり、嚥下しにくくなる。これらの患者は唾液分泌量を増やすのに、酸性の飴を常時なめていて、同時に歯のエナメル質の侵食が起きる。
デンマークのコペンハーゲン大学の研究者が酸性の飴とカルシウム配合の改良型の飴とを比較して、それぞれのエナメル質への侵食性を調べた。平均年齢51歳の19人の放射線治療を受けた癌患者と平均年齢25歳の健康な患者とが1日のテストに参加した。ベースラインで唾液を5分間採取した。ランダムに割り当てられたコントロールの飴と、カルシウム含有の飴を10分間なめた。1時間後にもう一方のほうの飴をなめた。
コントロールの酸性の飴は、水分、イソマルターゼ、酒石酸、ストロベリーと大黄のフレーバー、薄い赤色材料が含まれている。カルシウム配合の改良型の飴はカルシである。ウムラクターゼも含んでいる。両者とも5gである。飴をなめ終わってから、唾液分泌率が決定され、唾液のサンプルが採取された。
ベースラインと比較して、癌患者でも健康なひとでも唾液分泌について、2つの飴の間には有意差は認められなかった。癌患者の唾液は健常者より粘度が高く、カルシウムを多く含んでいた。唾液の浸食能力は、唾液試料中のハイドロキシアパタイト結晶のレベルで決定され、それは酸性の飴より、カルシウム配合の改良型の飴のほうが、有意に低かった。
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カルシウム配合の飴は、放射線治療後のエナメル質侵蝕には効果的です。
Jensdottir, T., Buchwald, C., Nauntofte, B., Hansen, H., Bardow, A.: Erosive Potential of Calcium-Modified Acidic Candies in Irradiated Dry Mouth Patients. Oral Health Prev Dent 8: 173-178, 2010.
2010-11-24