歯科医 東のウェブログ
歯周病と唾液検査
虫歯以外にも歯周病にも唾液検査は有益です。
歯周病は3相に分類できて、歯肉溝から唾液中にバイオマーカーが遊離される。生物学的な3相とは、炎症、結合組織の破壊、歯槽骨のターンオーバーである。唾液中の6つのタンパク質バイオマーカーを測定した。インターロイキン1β(IL-1β)、IL-8, マクロファージ炎症性タンパク(MIP)、マトリックスメタプロテアーゼ8(MMP-8), オステオプロテジェリン(OPG)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)。
ケンタッキー大学の研究者が、68人の慢性歯周病患者で、上記の6つのバイオマーカーを測定した。半分が口腔衛生指導(OHI)のみを受け、残りの半分が口腔衛生指導(OHI)とSRPを受けた。唾液採取と歯周病検査をベースライン、16週、28週で行った。
両グループとも歯周組織の状態は改善した。SRPグループの方がより改善した。
両グループとも、OPG、TNF-αは減少していた。IL-1β、MMP-8レベルはSRPグループのみ有意に減少した。IL-1βはSRPグループでは16週、28週のすべてで減少していたが、コントロールでは、28週のみ減少していた。OHIまたはSRPに対して効果があったひとを評価すると、OPG, MMP-8, MIP-1αあが16週でも28週でも有意に減少していた。
唾液中のバイオマーカーの測定は、歯周組織の健康について有意義な検査情報が得られる。
---
Sexton, W., Lin, Y, Kryscio, R., Dawson III, D., Ebersole, J., Miller, C: Salivary Biomarkers of Periodontal Disease in Response to Treatment. J Clin Perio 38: 434-441, 2011.