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歯肉縁下のエアーポリッシング
歯肉縁下をエアーポリッシングするというお話。
歯周病治療で初期治療が終了してメンテナンスに移行したときに、楽にメンテナンスを行う方法があります。
エアーポリッシングは、重炭酸ナトリウム粉末に摩損性があり、歯根表面と歯肉に外傷を与えるので、一般的に歯肉縁上で行われる。
EMS社が、歯根表面と補綴物と軟組織を傷つけずに使うことができる微粒子のグリシン粉末を開発した。この新しいグリシン粉末は、歯肉縁下に到達できて、歯周病のメンテナンス来院時にバイオフィルム除去するときのハンドインストルメントの代わりとなり得る。
ワシントン大学の研究者が、被験者30人で、歯肉縁下のプラークバイオフィルム除去について、
ハンドインストルメントとEMS社のエアフローグリシン粉末を使用したエアーポリッシングとを比較した。被験者は、少なくとも2歯がPPD4mmから9mmであり、PgとTfが検出可能なレベルであった。
歯肉縁下の細菌と口腔内の細菌のサンプルをベースラインと10日目と90日目に測定した。
歯肉縁下のエアーポリッシングは、穴が3つある特殊なデザインのノズルをつかって行われた。
歯の表面のエアーポリッシングは1歯5秒。
SRPは、キュレットとスケーラーを使って時間の制約なしに行われた。
両グループとも1日2回、2週間クロルヘキシジンで洗口を行った。
90日の時点で臨床的な有意差は認められなかった。
微生物学的には、90日の時点で、Pg陽性の患者は両グループともほとんどいなかった。
エアーポリッシングは歯肉縁下の細菌数に影響を与える可能性がある。
もちろん歯石除去が行われている場合で。
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初期治療が終了してメンテナンスに移行したケースではグリシン粉末は有効。
Flemmig, T., Arushanov, D., Daubert, D., Rothen, M., Mueller, G., Leroux, B.: Randomized Controlled Trial Assessing Efficacy and Safety of Glycine Powder Air Polishing in Moderater-to-Deep Periodontal Pockets. J Perio 83:444-452, 2012.
2012-07-18