歯科医 東のウェブログ
虫歯予防は妊娠中から
虫歯予防は妊娠中の食事から、というお話。
1934年の論文から。
エドワードと妻のメイはビタミンDがくる病において重要な役割であるということを発見した功績のある内科医である。20年以上の彼らの研究では、ビタミンD不足の食事は、歯の形成不全を起こすことが示していた。
くる病は子供に起こるが、メイは粗末な食事が犬の骨や歯に影響することに気付いていたので、このモデルを使った。動物での研究のほうがヒトよりも早く歯の形成への食事の影響を示すことができる。
かゆ状の食事を与えられた犬は、くる病になり、エナメル質形成不全がおきた。
食事に肝油を加えると、くる病、エナメル質形成不全が予防できた。このことから、ビタミンD欠乏がくる病と歯の形成不全を引き起こすと考えられた。
エドワードメランビーの本の第二章の歯の構造と疾患は、メイメランビーの業績に基づいている。
この章で、歯の石灰化におけるビタミンDの役割が考察されており、多数の動物での研究で裏付けられている。
妊婦と新生児のための石灰化促進のための食事の重要性が強調されている。
精白小麦粉はエナメル質形成を促進しないことが示されている食品のひとつであった。
虫歯は、歯の萌出後に砂糖と細菌により起こる問題ではなく、ビタミンD欠乏の小麦粉中心の食事の問題であり、それがエナメル質形成不全となり、細菌の砂糖の代謝による酸により簡単に溶けてしまうことになるという考え方を紹介している。
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虫歯の予防は妊娠中の食生活からはじまるのですね。1934年からいわれているというのには驚きます。
Clinical Implications: Prevention of dental caries begins with nutrition of the mother during pregnancy.
Mellanby, E.: Nutrition and Disease, The Interaction of Clinical and Experimental Work. London: Oliver and Boyd, 1934.
2012-11-19