歯科医 東のウェブログ
母のお口の状態で、子どものお口がわかる
子どものお口の健康は、母親のお口で分かるという話。
母親は子どもと多くの病気を共有する。 理由は、遺伝子、社会環境、健康の知識、健康に対する姿勢を共有しているからである。口腔内細菌も共有している。
母と子どもの両者から特定の細菌株が同定できる。唾液中のミュータンス・ストレプトコッキレベルの高い母親の子どもは同じようにミュータンス・ストレプトコッキレベルが高いことが多い。虫歯の多い子どもの母は、ミュータンス・ストレプトコッキレベルが高いことも多い。
カリフォルニア大学の研究者が母子の長期観察研究を行った。
アメリカ/メキシコ国境付近に住む妊娠中期の母親が被験者。母の年齢は18歳から33歳。
妊娠中と、分娩後4ヶ月、12ヶ月、24ヶ月、36ヶ月で唾液中のミュータンス・ストレプトコッキとラクトバチラスを調べた。口腔内検査と問診を同時に行った。低所得の、メキシコ系アメリカ人の母子のペア243組。
母は全員虫歯の経験がある。母の60%が未処置の虫歯があった。
分娩後36ヶ月の時点で、34%の子どもに虫歯があった。ミュータンス・ストレプトコッキレベルの高い母親の子どもはミュータンス・ストレプトコッキレベルが高かった。ミュータンス・ストレプトコッキレベルの高い母親の子どもは、虫歯が多かった。ミュータンス・ストレプトコッキレベルの低い母親の子どもは、虫歯が認められなかった。
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いまとなっては常識ですが、母親のお口の状態で、子どものおくちも決まってしまいます。
Chaffee, B., Gansky, S., Weintraub, J., Featherstone, J., Ramos-Gomez, F.: Maternal Oral Bacterial Levels Predict Early Childhood Caries Development. J Dent Res 93:(3) 238-244, 2014.
2014-05-18