歯科医 東のウェブログ
歯面への黒い着色
歯面への黒い着色はどうしてできるのですか?
子供の歯の着色。お茶などの着色なら悩みませんが、よくわからない黒い着色がみられることがあります。そのお話です。
歯面への黒や褐色の着色、黒い線となった着色、色素性のプラークは、1世紀以上調べられているが、正確な原因はわかっていない。特定の色をつくる細菌と鉄イオンをつくる細菌の代謝により引き起こされる可能性が高いということが研究者の間では一致している。
着色は歯肉縁に沿ったエナメル質上に、薄い線または、とびとびの点として認められる。調べてみると、高濃度のカルシウム、リン酸、不溶の鉄塩が検出される。
何年も前からPrevotella melaninogenicaやActinomycetes種のような着色性の細菌が黒い着色の原因であると示唆されてきた。唾液分泌レベルは着色の有無により違いは認められないが、pHは高く、唾液中のカルシウムとリン酸塩のレベルが、黒い着色があるひとでは高いことが分かった。
黒色の着色は歯ブラシでは簡単に除去できず、歯科衛生士が器具を使って除去する必要がある。除去すると、無傷の健全エナメル質を再石灰化せずに傷つけることになる。すべてではないが、多くの研究で黒色の着色がある子供は、黒色の着色がない子供と比較して、虫歯のリスクが低い。
黒色の着色の独自の特徴と、特定の細菌が歯面に黒色の着色を引き起こし、同時に虫歯を少なくするという可能性は、口腔内細菌をよい傾向の細菌に置換するモデルを提示している。
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歯面への黒色の着色はしばしば子供に起きて、虫歯が少なくて、pHレベルが高いという特徴がある。
たしかに子供に多くみられます。見た目もありますので、定期検診のときにぜひ着色除去を行いましょう。
Ronay, V., Attin, T.: Black Stain - A Review. Oral Health Prev Dent 9: 37-45, 2011.
2011-05-30