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歯周病原菌は脳の膿瘍と関係している
歯周病原菌と脳
歯周炎は全身の炎症を悪化させる細菌感染である。歯周病原菌は感染性腸疾患、アテローム性動脈硬化、冠動脈性心疾患、脳卒中、関節炎などの全身疾患と関連している。Aa(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)は主要な歯周病原菌であるが、しばしば心内膜炎に関連して検出される。
ヘビースモーカーでアルコール中毒の42歳の男性が、ここ数日、意識障害を訴え意識が低下した。検査値は白血球数が増加し、CRPレベルが増加していた。口腔衛生状態はよくなかった。CT検査で脳に4つの病変があることが確認された。全身のうち他の部位では異常は認められなかった。
デキサメタゾンを投与されたが、CT検査では変化は認められなかった。生検により炎症と膿瘍形成が認められた。Aaが最初に検出された。4種類の抗菌薬の投与を開始した。9日後、患者の状態は悪化していたが、CT検査では膿瘍に変化は認められなかった。膿瘍を排膿させることにして、口腔外科医が重度歯周炎の5本を抜歯した。抗菌薬を6週間継続した。1年の経過はよい。
他のケースレポートでも、口腔外の様々な感染症において、Aa菌の存在が確定されている。
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全身疾患のあるひとはお口もきれいにしましょう。
Rahamat-Langendoen, J., van Vonderen, M., Engström, L., Manson, W., van Winkelhoff, A., Mooi-Kokenberg, E.: Brain Abscess Associated with Aggregatibacter Actinomycetemcomitans:
Case Report and Review of Literature. J Clin Perio 38: 702-706, 2011.