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ダメな歯を残す
歯槽骨が減っていて頼りない歯でも残せることがあります。
歯周病治療の第一の目的は歯周病の進行を止めて、歯を保存することである。侵襲性歯周炎と慢性歯周炎の治療計画には、その歯が予後不良なのか、保存不可能なのかを診断することが含まれている。健康な歯肉の(歯肉炎ではない)ひとの歯の残存率は、99.5%であることが明らかさにされている。歯肉炎(歯肉炎指数3)がある場合は、残存率は63.4%に落ち込む。
ドイツのグライフスヴァルト (Greifswald) 大学の研究者が、歯学部で歯周病治療を受け、SPTで15年間管理されているひとのデータを調べた。34歳以下で歯槽骨吸収が少なくとも2本の歯にあるひとは、侵襲性歯周炎(AgP)と診断された。40歳以上で少なくとも2本の歯で歯槽骨吸収があるひとは慢性歯周炎(CP)と分類された。両グループとも34人の患者がいた。歯周病治療はスケーリングとルートプレーニングで、場合よっては歯肉縁下の歯石を除去するためにアクセスフラップを行った。抗菌薬はほとんど使用されなかった。SPTの間隔は患者ごとに3ヶ月から12ヶ月の幅があった。
ホープレスと考えられた歯は50%から70%の歯槽骨吸収があった。歯槽骨吸収が70%以上の歯はホープレスであった。侵襲性歯周炎グループでは、262本の保存が疑問視される歯があり、63本のホープレスの歯があった。15年後、88%の保存が疑問視される歯と60%のホープレスの歯が残っていた。歯の残存率はAgPとCPグループでほぼ同じだった。
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多くの保存が疑わしい歯や、ホープレスの歯も、効果的なメンテナンスを行うことによって、保存することができる。
Graetz, C., Dörfer, C., Kahl, M., Kocher, T., El-Sayed, K., Wiebe, J., Gomer, K., Rühling, A.:Retention of Questionable and Hopeless Teeth in Compliant Patients Treated for Aggressive Periodontitis. J Clin Perio 38: 707-714, 2011.
2011-10-22