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永久歯が生える前にキシリトール
キシリトールガムはいつから利用したらよいでしょうか?
キシリトールは日本に登場したときは、一般にもかなりヒットしましたが、日本人の悪い癖で最近ではとくに注目もされずといった扱いになっています。厚生労働省の認可が1997年ですから15年も経過しています。
砂糖入りのガム、飴のほうが売れるんでしょうね。コンビニの飴コーナーでのど飴を探すときにも、案外砂糖入りの方が多いです。
キシリトールは案外効き目があります。永久歯が生える前にキシリトールを利用すると、生えてきた永久歯が虫歯になりにくいという話。
多くのキシリトールの研究は、永久歯のう食活動性に焦点を当てている。
1990年から1992年の2年間に、被験者は研究開始時の年齢が平均6歳である510人の子供。
チューイングガムに入れたキシリトール、ソルビトール、2つの併用の3つについて効果を調べた。
効果は乳歯、永久歯の両方で測定した。ベリーズのダングリーガで行われた。
ガムを咬むのは1992年3月で終了し、1992年4月から1997年4月の間は、ガムを咬みおわってからの5年間の効果を調べた。
研究を開始して2年後、キシリトールではなく、ソルビトールガムの商用発売が開始された。
510人のうち、301人を再検査できた。
リスクのある歯面を萌出に基づいて4つのサブグループに分類した。
1)ガムを咬む前に萌出していた1990年4月以前に萌出した。
2)ガムを咬んで1年目に萌出した1990年4月から1991年5月の間に萌出した。
3)ガムを咬んで2年目に萌出した1991年5月から、1992年5月の間に萌出した。
4)ガムを咬んだ後に萌出した。1992年5月以降のガムが終了してから萌出した。
ガムを咬んでいないグループと100%ソルビトールのガムのグループで、非常に多くの齲蝕経験が認められて、両グループには有意差は認められなかった。
齲蝕経験が一番少なかったのは100%キシリトールガムのグループであった。
キシリトールとソルビトールの混合のグループは、ガムを咬まなかったグループよりは良かったが、100%キシリトールガムのグループほど効果的ではなかった。
虫歯の歯面の割合は、キシリトールグループが1.2%で、ガムを咬まなかったグループでは3.3%であった。キシリトールは、88%のリスクを減少させ、キシリトールとソルビトールの混合は64%リスクを減少させた。
萌出の時期が重要で、キシリトールガムを始める前に萌出していた歯についての予防効果には有意差が認められなかったが、キシリトールをしようして1年後に萌出した歯では、有意差が認められた。
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長期研究では永久歯が萌出する1年前からのキシリトールの使用がオススメ。
Hujoel, P., Mäkinen, K., Bennett, C., Isotupa, K., Isokangas, P., Allen, P.: The Optimum Time to Initiate Habitual Xylitol Gum-Chewing for Obtaining Long-Term Caries Prevention. J Dent Res 78 (3) 797-803, 1999.
2012-08-27