歯科医 東のウェブログ
おくちからQOLの実現
QOLが提唱されて64年も経過しています。
QOL(Quality of Life クオリティ・オブ・ライフ、生活の質。日常生活における精神的・身体的・社会的・文化的・知的な満足度)という考え方が医療の世界に入ってきて、64年経過しています。
とくにお口は重要です。前歯がないひとは不思議とお口に手を当てて話をします。TVのインタービューを受けている人が、お口に手を当てて応えていることがあります。おそらくお口に関係しているのではないかと思います。そういう話。
歯周病治療に、患者中心の結果を加えてみる。
患者主体のヘルスケアのコンセプトは、1948年に始まった。WHOが、疾病の撲滅から、患者の幸福へと焦点を移した年である。
歯周病の臨床研究は、PPD、アタッチメントレベル、BOPといった計測可能な変化に焦点が当てられている。
最近、研究者は、患者の視点による歯周病治療の影響を評価し始めた。
香港大学の研究者が、1年間、3カ月毎にSRPを行ったすぐ後に、臨床結果と患者視点とを評価した。
被験者は中等度から重度歯周病で、非喫煙の35歳から65歳の中国人60人である。
通常の臨床検査に加えて、被験者はお口の健康に関する14のQOLのアンケートに答えた。かみづらい、しゃべりにくい、食べにくい、お口に痛い部分がある、お口のみためが恥ずかしい、お口のせいで外出を避ける、お口のせいで働きにいけないなどの質問である。
経験豊富な歯科衛生士が、1ヶ月間で4回から6回のアポイントメントで、局所麻酔下で、非外科的にSRPを行った。ブリーディングスコアは、86%から32%に減少した。PPDの平均は、3.3mmから1.8mmに減少した。4mm以上のPPDの割合は、31%から3%に減少した。
QOLの中央値は、17であったが、1年後には13に減少した。歯周組織の健康の平均スコアは4.4になった。
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歯周病初期治療を行うことで、お口の健康以外にも、QOLが向上します。
Wong, R., Ng, S., Corbet, E., Leung, W.: Non-Surgical Periodontal Therapy Improved Oral Health-Related Quality of Life. J Clin Perio 39:53-61, 2012.
2012-08-15