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インプラント周囲炎の治療(1)
インプラント周囲炎の治療
「インプラント周囲炎」という用語は、1987年スイスのモンベリとそのチームによって提唱された。
もともとのインプラント周囲炎の病因は、歯周病と同じく、細菌性バイオフィルムである。
歯周病患者は健康なヒトに比べて、インプラントを埋入した際にインプラント周囲炎になりやすい。
インプラントが普及するにつれ、インプラント周囲炎の治療も増えている。インプラント周囲炎の治療オプションの研究が進んでいるが、どの治療がもっとも効果的であるかは明らかになっていない。
ギリシャのアテネ大学の研究者が、インプラント周囲炎治療についてシステマチックレビューを行った。
5本の論文がランダムコントロール実験で評価していたので、選択された。
4つの治療法
(1)非外科的なデブライドメント
(2)非外科的なデブライドメント+クロルヘキシジン
(3)非外科的なデブライドメント+抗菌薬
(4)Er:YAGレーザー単独または再生療法
機械的なデブライドメントのみが長期的予後のよい方法であった。
多くの症例で、歯周組織用のエンドスコープを使ってのデブライドメントはインプラント周囲炎に効果的であった。
YAGレーザーまたはクロルヘキシジンまたはミノサイクリン併用のデブライドメントは、12ヶ月後の結果は良好であった。
人工骨を使った再生療法は効果的であった。
インプラント周囲炎の予防がベストの方法であるが、インプラント周囲炎が起きた場合、患者、インプラント、術者という条件に応じて様々な治療法がある。
現時点では、インプラント周囲炎の治療のゴールドスタンダードは確立されていない。
Kotosovili, S., Karousis, I., Trianti, M., Fourmousis, I.: Therapy of Peri-Implantitis: A Systemic Review. J Clin Perio 35:621-629, 2008.
2013-03-05