歯科医 東のウェブログ
フロス後に菌血症?
抗菌薬の予防投与。
感染性心内膜炎はまれだが、重篤な心臓の感染症である。緑色連鎖球菌は、感染性心内膜炎に関連する口腔内細菌である。SRPのような侵襲的な歯科処置を行うときは、抗菌薬の予防投与が推奨される。
新しい研究によれば、菌血症を考慮すると、SRPと同様にブラッシングにもリスクがある。
シドニー大学の研究者が、慢性歯周炎患者30人を被験者に、SRP後とフロス使用後の菌血症のレベルを比較した。最初の診療で全顎フロッシングをした。2回目の診療で1クアドラントSRPした。血液採取は、ベースライン、フロッシングの30秒後、10分後に行った。SRP開始後、5分で血液採取、SRP終了後30秒と10分後にさらに採血した。ベースラインの採決後に歯肉炎指数、プラーク指数を記録した。
フロッシングは、ワックスタイプで隣接面の歯面を上下に3回動かした。SRPは、局所麻酔下で、EMSのパワースケーラーとグレーシーキュレットを使用した。
菌血症の発生率は、フロスグループで30%、SRPグループで33.3%。緑色連鎖球菌敗血症は27%と20%。
これらの差はに有意差は認められなかった。侵襲的な歯科治療のみに抗菌薬の予防投与が推奨されているけれど、フロス後とSRP後ともに、菌血症が同じ程度発生したということは問題である。
Zhang, W., Daly, C., Mitchell, D., Curtis, B.: Incidence and Magnitude of Bacteraemia Caused by Flossing and by Scaling and Root Planing. J Clin Perio 40: 41-52, 2013.
2013-05-27