歯科医 東のウェブログ
虫歯予防と唾液
唾液をよく出すにはガムをかむこと。
エナメル質はpH5.5で脱灰され、象牙質はpH6で脱灰される。プラークのpHはショ糖、小麦や発酵性食品を摂取後3分以内にpH5.5まで下がる。唾液はプラークのpHを元に戻す働きがある。
唾液分泌が減少するとプラークのpHが下がり、pHが元にもどるのに時間がかかる。唾液には、プラークバイオフィルム中の酸産生を中和する働きに加えて、脱灰したエナメル質、象牙質を再石灰化させる能力がある。
1966年、Dr.Backer Dirksが70歳のときに、72人の白濁した初期虫歯を8年間経過観察した。
これらの病変は、7症例が虫歯になり、26症例が変化なし、37人つまり半数以上が再石灰化して臨床的に探知できなかった。
ショ糖と炭水化物の増加は虫歯リスクを高めるが、食物だけで虫歯になるわけではない。
刺激時唾液は、プラークのpHを元に戻すのに役立つ。唾液は重炭酸塩を含んでおり、その濃度が上がると、引き続き唾液分泌の刺激が続き、好ましいpHの上昇が起き、エナメル質が脱灰よりも再石灰かされる。
シュガーレスガムを食事に噛むと、その刺激で唾液分泌が起きプラークのpHが上がることがいくつかの実験により示されている。
ソルビトールを甘味料としたガムは、ガムを食べないグループよりいつもよいとは限らない。虫歯を減らす割合は0%から20%である。キシリトールを甘味料としたガムは43%から71%虫歯を減らす。量と頻度が問題になるが、1日3粒から5粒。
ガムを咬むことにより唾液分泌が増加することに加えて、それがキシリトールを甘味料として使用しているものなら、有意に虫歯になる率が下がる。
Stookey, G.: The Effect of Saliva on Dental Caries. JADA 139: 11S-17S, 2008.
2013-04-18