歯科医 東のウェブログ
唾液と虫歯
唾液は身体の最初の防御です。
唾液はえらいというお話。
唾液は歯を守る。抗菌作用、口腔内から細菌を機械的に取り去る、緩衝作用でpHを上げる。唾液は、虫歯に関連する細菌と酸に対する最初の宿主の防御システムである。唾液のおかげで、脱灰と再石灰化のバランスがとれる。虫歯に関して唾液の最も重要な機能は、洗浄作用と中和作用である。
唾液の分泌が高くなればなるほど、口腔清掃能力はよくなる。一般に、唾液分泌が下がると、高い齲蝕罹患率を示すことがよくある。
唾液の緩衝作用は、3つの緩衝システムによる。重炭酸塩、リン酸塩、タンパク質。唾液分泌が低下することと唾液の緩衝能が低下することは、酸への抵抗が低下することを意味する。このことは、特に老人における口腔乾燥症に当てはまる。ホルモンの変化、代謝の変化や健康も唾液の緩衝能に影響を与える。興味深いことに、栄養異常で唾液分泌が減少すると、緩衝能は増加する。
唾液中のたんぱく質が補助するのか、または状況を薄めてしまう。タンパク質は、酸から歯を保護する、歯の表面のペリクル形成において重要である。しかし、ペリクルが形成された歯の表面へ細菌が接着するのを阻害するタンパク質も存在する。そこでは、タンパク質は、口腔内細菌が凝集し、口腔内から排出する役割を果たす。
ムチンタンパク質のMG1は、虫歯になりやすい状況において高く検出される。一方MG2は、虫歯に抵抗性を示す状態で高く検出される。ある研究によれば、MG2は虫歯になりにくいひとにおいて4倍高い。
イミノグロブリン類も、虫歯の罹患率に影響する。あるものは虫歯を予防するし、あるものを予防過程を薄めてしまう。
虫歯になりやすいひとと虫歯になりにくい人での唾液の違いは、個人に由来する遺伝的な影響を示唆している。
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唾液はたいしたもので、身体の防御の一番最初のものです。唾液をもっと知りましょう。
Lenander-Lumikari, M., Loimaranta, V.: Saliva and Dental Caries. Adv Dent Res 14: 40-47, 2000.
2012-04-05